・ 瞬間的に無くなる「本物の金欠」
私は先に、リベンジする対象と切れるためには、時間を稼ぐ必要があると書きました。また、感情のリセットについては、時間とともにリベンジすべき相手が消滅したりモチベーションが薄れたりすることが多いともお話ししましたね。
ここであなたは、一つ疑問に思われたことがないでしょうか? 私は、取り戻せない環境を作り上げるために、時間を稼ぐ必要があると書きましたが、「ギャンブルで得るお金を当てにしない」環境を作る方法について、まだ書いていませんでした。
その答えは、同じく「時間を稼ぐ」ということです。先にも書かせていただきましたが、時間を稼ぐとは「ちゃんとした方法に沿って、目的意識を持ちながら、一定期間の断日数を重ねる」ということでしたね。つまり簡単にいえば、「ギャンブル依存症の解決は、ギャンブルしない期間にのみ行われる」ということです。
賭博場に行くことができないならば、当然ながらそこで得るお金は当てにならなくなります。といいましょうか、そもそもギャンブルで得る金に期待を持つというのが大きな間違いなのですが、依存症ギャンブラーの金銭感覚は狂っているので、往々にして次のようなケースが発生するのです。
- 明日返済する金が足りない
- 今月、残り1万では過ごせないから
- 娘の月謝が払えない パチンコで増やせば
- 先月質入れした妻のバッグが、流れてしまう
- 会社の金を使い込んだ 返そうにも金が足りない
- 手持ちの金がたった1万じゃ、社内旅行に行けないよ
私はこれまで、 これらのことを話された方々に、次のような質問を投げかけてみたことがあります。「なぜ、金銭的なピンチになってしまったのですか?」と。全ての方の答えは、「ギャンブルで使ってしまって…」というものでした。
お分かりのように、「ギャンブルするから金欠になる→金欠になるから、増やそうと思ってギャンブルする→ますます金欠になる」という繰り返しです。こういったループを止める方法はただ一つ、ギャンブルに行かないということなのです。本物の金銭的なピンチは、ギャンブルをやり続けることによってもたらされているわけで、ギャンブルをやめた途端、そういった問題は全て改善に向かいます。
ただし、月々の返済や支払い・生活費などは当然必要ですから、支出が生じるときにはお金が足りなくなることがあります。ですがそういったものは、本当のピンチではありません。見せかけのピンチなのです。
なぜなら、そういった出費はあらかじめ予測しておくことが可能だからです。ギャンブルで使う金は予測不可能ですが、ギャンブルしないということが前提なら、そういった予定を立てることは可能だといえます。
・金を増やさなくてもよい理由
これまでに書かせていただきましたように、お金を増やそうとしてギャンブルする理由の殆どが金銭的なピンチです。一方で、ギャンブルする限り、絶対に金欠の脅威から逃れることはできないのです。逆にいえば、ギャンブルをせず計画的にお金を使い、生活するのにどれだけのお金が必要か把握していれば、そういったピンチから逃れることができるのです。
ギャンブルしない日々を積み重ねると、だんだんお金に困らなくなってきます。なぜなら、それまで最も金を使っていた要素がなくなってしまうからです。そうなると、今度は全てがうまく循環し始め、お金を増やす理由が無くなってきます。つまり、「あなたがお金を増やさなければならない理由・目的を取り除く」ためには、時間を稼いで出費を抑え、生活を安定させるしかないのです。
さてここまでお読みになって、まだなんとなく不安な方も居られることでしょう。ですが心配なさらずとも、ギャンブルをやめれば、それまで以上の「金欠オバケ」が出てくることなどありません。といいましょうか、そもそもギャンブルで金を増やす理由など存在しなかったのです。繰り返しますが、やめた瞬間から全ての問題が解決へと向かうのです。
家計簿をつけたり最低生活費を算出したりするのは、増やす必要が無い環境を作るための指針であり手助けともいえるものです。このあたりについては、具体的な方法として後ほど詳しくお話しすることにしましょう。
ここで少しまとめておきます。
「取り戻そう!」と思ったり「増やそう!」と思ったりする感情をリセットするためには、ギャンブルしない時間を稼ぐ必要があります。時間を稼ぐとは、ただ単に行かない日が続くということではなく、「正しい方法に沿って、ちゃんとした目的意識を持って、一定期間の断日数を重ねる」ということです。
ギャンブル依存症を克服するとは、「克服できるまでの時間を、いかにして稼ぐか」ということでもあるのです。(続く)