極寒のほろ苦さ

2パチ屋で身に付いた金銭感覚

当たり前に電気使って暖房つけて暖かくして過ごせている。それが最近の私だ。

だがスロットをしていた頃は違った。暖房どころか電灯をつけるのも勿体無くて、真っ暗闇の中で過ごしていても平気だった。

車だって極寒の時期、暖房をきかせて走ったことは数えるほどしかない。ヒーターも付けず厚着して我慢していた。今考えると、あの頃の自分自身にあきれてしまう。

“だってお金が勿体ないじゃない! 我慢は種銭のためよ!”
“その為なら、何だってやるんだもん!!”

“お洒落? ノーノー! 興味ない”
“友達と遊ぶ? めんどくさ”
“スロット以外は眼中にないの そのために軍資金が要る…”

“ほしいものは、勝ってから買うのよ! だから出して!”
“出してもらわないと困るんですけど…”

で…、最後は感極まって、グッとホール内の防犯カメラを睨み付ける。

あの頃の私にとっては、パチ屋に行くことが義務だった。とにかく、毎日いかないと気がすまなかった。負けようが勝とうがどーでもいい。とにかく、行かなきゃ気がすまない。

結果が気にならなくなり

「いくら勝っても負けても結果はどうでもいい」いつしか、私の頭の中は勝つことが目的では無く、通うことが目的となっていった。

あの頃の私にとって、打ってることだけが生きてる証だった。だが少々浮いても、総額で数百万も溶かしていると少しも嬉しくないのである。

この季節、吹雪だろうが風邪だろうが病気だろうが、私にとってはパチ屋に行くのが使命だった。

負けてパチ屋を後にするとき、駐車場に停めた車の雪かきがなんとも恨めしく虚しかった。あの悔しさと悲しみは、いまだに忘れられない。

家に帰れば家族は全員眠りに就いていた。あの頃は、家族全員で食事なんてあり得なかった。負けて帰ってきた私は、冷たくなった夕食の残りを放心状態で貪るしかなかった。

今考えると、完全に狂っていたな…。

今は暖かくして過ごせて休める時間が持てる。素敵だ! しかも、使うべきところにしっかりとお金を使える。

そんな余裕もやっと持てた。お金本来の使い方がわかってきた!

今、とっても人間らしい生活ができている。過去は過去だ。これからは過去を捨て、前進あるのみ。

しっぽな☆☆☆(SAGS正会員 断スロット2487日)

奥井 隆
奥井 隆
2 市民団体 ギャンブル依存症克服支援サイトSAGS 代表
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