前の記事で、「衝動に備えて過ごす方法は、断ギャンブル3原則」と書かせていただいた。
3原則の一番目である、「余分なお金を持たない」というのは、本当に基本中の基本と言える。これはギャンブルが酒やタバコなど他の嗜好品と違った性格を持っているからだ。
ギャンブルという遊びは、「偶然の事象に金品のやりとりを行う」と定義されている。つまり、「お金を奪い合う遊び」に他ならない。逆にいえば、お金がなければ遊べないのである。
勿論、遊ぶためには時間も必要だが、時間というものは仕事をサボろうが家事を手抜きしようが、何とでもなるものである。ところが、いかんせんお金というものは、殆どの場合限りが有る。
金銭管理という難問
そういった意味で、これまで活動を続けてきて一番に気遣ったのが、参加者さんにどうやって金銭管理をしていただくかということであった。
少し昔話になって申し訳ないが、私が現役の依存者であった頃、ギャンブル依存症という言葉は世間ではあまり使われない言葉であった。「ギャンブルで身を滅ぼすやつはクズ」で片付けられていたのだ。
ギャンブル依存症というものは、とにかく金銭問題を引き起こす。そういった意味で依存者は、「お金にだらしない人間」ともいわれていたのである。その頃、今のようなキャッシュレス決済など存在していなかったし、依存者は家族に金銭管理して貰うか、それとも「一番信用できない自分自身」に託すしか方法が無かったのだ。
ギャンブルやめやすい時代になったもんだ
ところが昨今はどうだろうか。近年のキャッシュレス化は驚くべきスピードで進行している。ヤル気さえ有れば、1週間をキャッシュレスで過ごすことさえ可能だ。
特に独身で過ごす人たちにとって、キャッシュレス化はギャンブル依存症克服のための救世主とさえいえるのである。なぜならそういった方たちは、金銭管理を家族に託すことが難しいからである。
そういった意味で、ここ数年のキャッシュレス化の波は依存症ギャンブラーにとって大きなチャンスである。ギャンブルやめやすい時代になったもんだと、つくづく思う。
マネーチャージする勇気
だがここで一つ問題がある。それは、いかに電子マネーが浸透した世の中になっても、心の奥底でギャンブルすることを諦め切れていない人たちの存在である。
そういった人たちは電子マネーカードに、ポンとまとまった現金をチャージすることを躊躇いがちである。すなわち、ギャンブルするためのお金を確保しておきたいのである。
ここで必要なことは、給料日などにまとまったお金をチャージしてしまう勇気である。同時に、各種支払いも口座振替など現金を介さない方法にしてしまうことだ。
こういった行動は少しばかり勇気が必要かも知れない。だからアクションプランの提案としては、ギャンブルで大負けした直後など大きな問題を感じている直後が良いかもしれない。
そしてまずは給料日の直後に、ある程度のお金をチャージしてしまうことである。そうすれば、たとえギャンブルで生活費が失せても最低限の生活は確保できるのである。
電子マネーへのチャージは、生活不安の解消にも大きく関係している。生活への不安は、やもすればギャンブルする引き金になりかねない。
「まずは、電子マネーカードにチャージ」これを心掛けていただきたい。(続く)