火に油を注ぐ金銭問題

2 ・感情のリセットが 克服のカギ

度を超さずに楽しめる人 つまり依存していない健常者ならば、そういった気分の高揚や感情の高ぶりというものがギャンブルの醍醐味といえるのかもしれません。お金の損得こそがスリルであり、ギャンブルという遊びの神髄だからです。ですが依存症ギャンブラーにとって、ギャンブルの損得が生み出す感情というものは、大きな害があるものです。

なぜなら先にも書いたとおり、そういった感情が災いして勝っても負けても通い続けなければならない状況に追い込まれるからです。おさらいの意味でもう一つ書くならば、得をしたときと損をしたときの感情のギャップが大きすぎるので、ギャンブルによって感情を操られてしまうということでもあります。

さてここまでお話させていただきましたが、あなたは既にお気付きかもしれません。「金銭に対する感情をリセットする」ことは、ギャンブル依存症を克服するために、とても大切なことなのです。そして感情のリセットは、克服を目指す上で依存症ギャンブラーが当面の目標とすべきことでもあります。

ですが、これはなかなか大変なことです。リセットするためには、ちゃんとした意識に基づき、長い時間をかけねばならないのです。リセットとは、それまで自分がかかわってきたギャンブルのしがらみを無くすということでもあります。記憶を消すことはできませんが、しがらみを絶つことならできるのです。

金銭に対する感情をリセットするための方法については、後ほど詳しくお話させていただきます。

・金銭問題 特に借金は火に油を注ぐ

ギャンブルへの依存は、やり過ぎて金銭問題を抱え込むことで一層加速します。殆どの場合ギャンブルへの依存とは、お金への固執と恨みの集積です。金銭感覚を狂わせ、依存に火をつけるのが金銭問題です。金銭問題を引き金とすることが、ギャンブル依存症と他の依存との大きな違いといえるでしょう。特に「ギャンブルするために借り入れをする」という行為は、殆どの依存症ギャンブラーが経験する修羅場です。

経験してみればわかりますが、誰かに金を借りるというのは本当に恥ずかしいものです。正確に言えば「目的によって、恥ずかしい場合がある」ということなのですが、「借金の目的が欲望である場合」は特にそうです。ここでちょっと考えてみてください。住宅ローンやカーローンなどを組むとき、恥ずかしいと思う方は少ないはずです。なぜなら、借りる目的が生活するために必要な物を得ることだからです。

ですがもしもその借金が、ブランド品のバッグや時計など贅沢品を購入するためのものであった場合はどうでしょうか? 私の場合、おそらくかなり後ろめたい気持ちになると感じます。あなたなら、どうでしょう? そしてもう一つ、借金の原因がギャンブルでお金を失ったことであったとしたら…? 例えば、ギャンブルの結果が次のような場合です。

  • 今日の昼飯代もない
  • 明日からの生活費がない
  • 子供たちの学校に 月謝を支払えない
  • 家のローン支払日が迫ってきているのに 入金もできない・・・
  • 貰ったばかりなのに 今月のお小遣いを全て使い切ってしまった

いろいろな人の経験談を聞いてみてもそうです。上に書いたような経験をした人は、踏み込んではならない領域に入り、やってはならないことに手を染めたというという後悔にさいなめられるのです。そしてそういった感情は、燃え上がるような悔しさと凍り付くような罪悪感ともいえるでしょう。

つまり依存症ギャンブラーは借金をしたとしても、最初のうちはまだ正常な思考ができている場合が多いのです。自分がしたことに罪を感じ、そのときは「もう二度と借金なんかしない!」と思うのです。ところが残念なことに、欲望に基づく借金は、「繰り返す」という特徴を持っています…。(続く)