断ギャンブル目指すなら 財布は捨てよう

前回は断パチ・スロ3原則の一番目である、金銭問題について簡単に説明させていただいた。「ギャンブルやめやすい時代になった」と私は書いたが、これは本当に実感する。

世間では今、パチンコ産業への風当たりが強いし、昔に比べてギャンブルに対するイメージが悪くなった。

大きな声では言えないが、一昔前なら賭け麻雀なんて誰だってやっていた。この私だって、一晩に数十万動く麻雀を打った経験がある。以前、記事にした記憶があるが、金持ちの社長サンがスナックごと出前してという豪快な賭場であった。

賭けゴルフだって、有名企業の偉いサンなんかでも、かなり高額のチョコレートを握っていた。プッシュで50万なんてハナシはしょっちゅう聞いたものだ。

ようはそういった行為が許されない時代が到来したのである。だが、事実上の猛バクチであるパチ屋はまだ残っている。

例えば誰かが古物商の免許を取ってゲーセンの景品を買い取る仕組みを作ったとしたら、おそらく警察は黙っていないだろう。だが現実にそれを堂々と行い、一つの産業として納税までしている業界が存在するのである。

日本にはこういった「公然のウソと矛盾」がいくつか存在する。このような産業の存在は国際的な恥であるにもかかわらず、政治やメディアの力で消し去ることはできない。

そういった産業を衰退させたり無くしたりする方法はただ一つ、我々市民がやらない・やらせない、ただそれだけなのである。

ちょっと前置きが長くなってしまったが、本日は「財布を持たない勇気」というお話である。

2断日数を積み重ねる方法は3つ だが…

ギャンブル依存症を克服するために必要なことは、「衝動に備えながら、断ギャンブル日数を積み重ねる」ただこれだけだ。

そしてそれを実現するための方法を、おおざっぱに分類すると3つになる。

生活環境を変える
生活習慣を変える
仲間達と交流する

これら3つのうち最初に着手すべきなのは、生活環境の改善である。それには大きな理由が有る。生活環境の改善は、「簡単に行えることが殆どで、一度行えば永続する場合が殆ど」だからである。

例えば、余分なお金を手持ちしないという目的にコミットするとしたら、どうすれば良いだろうか?

財布に現金を入れない
クレカを持ち歩かない
キャッシュカードを持ち歩かない

これらの方法が考えられるが、よく考えてみればどれも「毎日、自分自身で行わねばならない」ことに気付く。

ここであなたにお聞きしたい。できそうですか? 依存まっただ中の私はこれらの方法を試し、一度も成功しなかった。成功しなかった理由は明白である。それはこれらの方法が、「毎日、しかも一番信用できない自分自身に託さないと実行できない方法」だったからだ。

財布を持たない勇気

では、これらの方法は諦めるとして、どのようにすれば良いのだろうか? 実は、そう難しいことではない。

・財布に現金を入れない → そもそも財布自体を持ち歩かない
・クレカを持ち歩かない → クレカの信用貸付枠を外して契約を結び治す
・キャッシュカードを持ち歩かない → ここが問題だ

我々依存症ギャンブラーにとって、「財布」という存在は厄介なものである。なぜなら、そこには現金をはじめ、キャッシュカードやクレカなど、お金にまつわる全ての物が入っているからだ。

だから「余分なお金を持ち歩かない」という目的にコミットするならば、財布は持ち歩かないに限る。まあ、電子マネーカードを何枚か入れた「小銭入れ」とスマホ内のアプリで十分だろう。財布を手放すという工夫一つで、実際、これらの脅威から逃れることができるわけだ。小銭入れの中には、900円。これも鉄則なので気をつけていただきたい。

誰かに、「えっ! 財布、持ち歩いてないの?」と聞かれたら、胸を張って、「うん。殆どの買い物はキャッシュレスでできるから」と答えれば良い。こういったやりとりが可能になった「時代」に感謝したいものである。

もしも飲み会などに誘われたら、「今日は手持ちが無いから、次は前もって誘ってね」でいい。このあたりはつらいが、断ギャンブルという目的を優先してステディーにやろう。もしもスマホなどの電子決済ができるのであれば、それを利用するのも良い方法である。

キャッシュカードの存在は一番に重要な部分だが、先の記事で書いたとおり生活費を全て電子マネーカードにチャージすることである。

まずはそれをやってみて、財布を持たないことに挑戦して欲しい。(続く)

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奥井 隆
奥井 隆
2 市民団体 ギャンブル依存症克服支援サイトSAGS 代表
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