家族側の否認が最強な理由

2否認の正体

問題を起こしていると感じているのに、「自分は依存していない」と否認する人たちがいる。そういった人たちの多くがパチンコやスロットへの依存者である。これらのギャンブルへの依存はお金以上に時間を食いつぶすので、多くの問題が露見しやすいのである。前述したように、家庭内の問題はMAXに達していて、家族関係さえ崩壊寸前という方が多い。

彼らは問題の存在を意識しつつ認めない。なぜなら、そういった人々は自分の行為を正当化するために常に言い訳をし、自分自身に対して嘘を突き続けねばならないからである。ギャンブルし続けたかったり、家庭内で問題を大きしたくなかったりと、その理由は様々だ。

私は、そういった問題の根幹に存在するのが、「依存に対する※ステレオタイプ」だと考えている。それは例えば、依存する人は先天的だと考えていたり、意志が弱いから依存すると信じていたり、自分は生まれついてのクズだと決めつけていたり、といった誤解と間違った知識・情報である。

否認者の多くは、打たれ弱い人たちである。そう考えているからこそ、自分が依存していると認めたくないのだ。このことについては、私も身に覚えがある。つまりこういったタイプの依存症ギャンブラーが否認する心の奥底にあるのは、依存に対する恐怖であり嫌悪だということになる。

※ステレオタイプ: ステレオタイプ(英: Stereotype)とは、メディアなどを通じて観念化された先入観や思い込み、偏見などを呼ぶ総じて指す言葉である。

最強の否認者

ただし、先ほどから書いているように、そういったタイプの人たちは少なくとも「自分の行動に問題がある」とは感じているわけで、第1段階の「過ちを知る」という領域は超えている。これはある意味克服するためのプラスになる材料である。

だが一番厄介なのは、「自分の行動には絶対、問題が無い」と頑なに考えている人たちである。それは前回の記事で書いた、一番目のタイプである。そういった人たちは、「自分の行動に問題があるかどうか」という最も原始的な部分での理解というか悟りが先に必要なので、かなりたちが悪い。

以前私は家族の方から頼まれて面談に訪れた際、「ワシは、何も悪いことはしとらん! お前に用は無い、とっとと帰らんかい!」と塩を撒かれて追い払われたことがある。そうなってしまう理由の中で圧倒的に多いと思えるのが、依存の存在を知っていなかったり依存の知識が乏しかったりということである。

だが実際は、ギャンブル依存症という社会問題を考える中で、更に大きな脅威が存在する。それが家族側に存在する否認である。家族側に存在する否認とは、「自分には一切問題が無い」と思い込むことだけではない。

これまでから私が、「そういった行為は、本人のためになりませんよ」とアドバイスしても、「私は被害者であり、自分こそが本人と家族を守れる唯一の人間だ」「私の行動が間違っているはずが無い」と主張されるご家族が何名か居られた。

家族側に存在する否認は、被害者意識と正義感で固く守られている場合が多い。まさに「最強の否認」と言ってよいのである。(続く)