ここで少しだけSAGSについて書かせていただく。
リアルでつながった関係は強い。少々のことでは崩れない。ところが残念なことにSAGSのような団体の参加者さんたちは、WEB上のコンテンツや掲示板だけで仲間達とつながっている関係ともいえる。
自助グループというのは正にリアルのライブなのだが、開催日が決まっていたり会場が遠かったりといった物理的な要因が参加の敷居を高めていることもある。
そういったことがあってSAGSでは、これまでにオフ会や懇親会・勉強会・相談会といったリアルの行事を催してきた経緯がある。特にオフ会は懇親会とセミナーの二部構成で成り立つ催しで、毎年東京と大阪で年に2回行ってきた。
オフ会が廃止されて、1年半が経った。そういった催しが無くなってしまった理由については割愛するが、無くなってから想像以上に大きな変化があった。よい意味でも悪い意味でも、参加者さんたちが大人しくなってしまったのである。
羊の群れに進歩はない
そもそもSAGSという団体を立ち上げたのは、掲示板だけでは参加者さんたちをカバーしきれなくなったからだった。だからメンバーシップを導入し、いってみれば箱庭のようなコンテンツを作り上げた。
それまでは匿名の荒らしに悩まされ、参加者の書き込みが原因で何度か警察に出向いたこともあった。真夜中に「死にます」という書き込みをされ、最寄りの警察署に行って参加者さんを保護して貰ったり、私自身が出向いて保護したり、まあいろいろなことがあった。
オフ会があった頃には、そういったアクシデントがまだ見うけられたものだが、オフ会を廃止してからとんと見かけなくなった。
ところが管理者の負担は激減したものの、新たな問題が発生し始めた。その一つが、今回の投稿のきっかけともなった「長期の断ギャンブル達成者のスリップ」である。そしてもう一つ 参加者に覇気が無くなってしまった。羊の群れの如く、活気が無く進歩も無くといった状態になってしまった。
仲間達のところに帰ろう
よくよく考えてみれば、我々がギャンブル依存症問題を解決しようと努力しているのは、「底まで落ちてから浮かび上がる」ことを目指しているのではない。みんな「底上げ」を願って懸命に頑張っているのである。
誰だって、多重債務者になったりホームレスになったり行政の支援を受けたりといった、いわゆる底状態まで落ちたいとは思っていないだろう。というよりは、底がどのような物か知らずに過ごしている方が多い。だが底を知るために自ら経験するというのは、あまりにもダメージが大きすぎるのである。
ではどうすればよいのか? 仲間達の話を聞いて、底とはどのような物か知ればいい。できればリアルがよいだろう。懇親会などリアルの場で仲間達と会えば、そういった疑似体験が一層身に沁みるのだ。
WEB上のコンテンツは言葉のすれ違いが起きやすい。しかも錯覚に基づく関係は脆いときている。たった一つの思い違いやすれ違いで、関係が崩れさってしまう。だがリアルで会えば、そういった心配も少なくて済むのである。
今になってつくづく感じるが、リアルで仲間達と会うことは想像以上に大きな効果を生む。その証と言っても良いが、リアルの交流を経た人たちは続々と3年の壁を越していったのである。
そういった人たちは、今もかけがえのない友人であり仲間である。
スリップをスリップで終わらせるために
1年以上の断達成後にスベった人に対し、最初に申し上げたいのは、「仲間達のところに帰ろう」である。で、できたらリアルで会える仲間を作りなさい。人間関係の中でしか培えないことがある。
そして、スリップをスリップで終わらせることだ。あなたが積み上げた断ギャンブルの日数は、決して無駄ではない。「スリップしたから全ておしまいだ!」などと自暴自棄に考えないで、すぐにカウントを巻き戻して出直すのである。
スリップ報告してカウントを巻き戻さない人を見かけるが、すぐにカウントを再開するのがポイントである。そして達成日数に応じたスレにすぐ顔を出すことだ。それが、スリップをスリップで終わらせるコツである。
コロナ禍のさなか、リアルで仲間達と会うのはなかなか実現できないかもしれないが、騒動が収まったら是非実行していただきたいものである。次回はおさらいである。(続く)