ところが、このカミングアウトというものと縁が無い方たちも居られる。一人で暮らしていたり家族が居なかったりするならば、実際のところカミングアウトそのものが用をなさないといえる。
そういった方々は、金銭管理を一人で行わなければならない。電子マネーカードの普及で昔に比べればキャッシュを持たなくて良い時代になったが、そのことと金銭的な不安とはまた別の話である。
いくらあれば 生活していけるのか
依存症ギャンブラーは常にお金に困っているから、金銭に対する不安や生活の破綻に対する妄想は日毎に大きくなっていって当然だ。そして、この経済的な不安こそがギャンブルをやめられないことに大きく結びついている。
ではどうすれば、そういった生活不安を軽減できるのか? ここで私が提案するのは、あなた自身が生きていくために必要なローエンド(底)を知ることである。ざっくばらんに言えば、それはあなたが生きていくために必要な最低生活費ともいえるだろう。
考えてもみて欲しい。この先いくら有れば生活できるのか分からないならば、誰だって不安だろう。この不安の半分は、「自分の生活費をちゃんと把握できていない」ことが原因なのである。
あなたのランニングコスト
紙と鉛筆を出して、少なくとも次の項目ぐらいは書き出してみて欲しい。
1)毎月
・食費
・家賃・共益費
・光熱費
・携帯の料金
・保険料(月払)
・交通費
・駐車場料金
・ガソリン
・被服費
・雑費(月額3万円ほど)
2)毎年
・車や家の保険料
・車の維持費(およそ15万)
・雑費
いくつか挙げたが、該当する物だけで良い。あなたのランニングコストを算出するのである。
私のこれまでの経験では、このことをしていただくだけでかなりの効果が見られた。「意外と少ない」と感じられる方が多かった。
依存の芽を摘むためには 生活の不安を取り除く
ここまで書いてみたが、あなたはやってみられただろうか? 実際のところアドバイスしても、実行される方は少ない。ようは効果に対して信用しないから、やらないのである。
だがギャンブルに依存した限りにおいて、一番信用できないのは自分である。自分の考えだけで解決できないからこそ、ギャンブル依存症は大きな問題なのだ。
このことだけは今回、よく覚えておいていただきたい。
おさらい
今回のシリーズを終えるにあたり、最後に少しだけおさらいをしておこう。
・ギャンブルというのは、経済的に余裕があるから行くというものではない
・逆に生活不安を抱えている人ほど、依存しやすくやめにくい
・不安解消の第一歩は、現状を把握し不安を可視化すること
・金銭的な不安を取り除くには、カミングアウトが一番の手段
・カミングアウトできる環境に無い人は、まずは自分のランニングコストを算出してみる
断ギャンブルを続けるうえで一番大きな不安は、将来のことと経済的なことだ。
将来的な不安や人間関係の不安は、断を積み重ねることで時間が解決してくれるといえる。だが、経済的な不安は自分で向き合うしかない。
あなたが生活不安を少なくし、ちゃんと断ギャンブルできることを願っている。そのために、今回の記事が少しでも参考になれば幸いである。(奥井 隆)