今か今かと待ち望んでいたが、ようやくIR(カジノ誘致統合型リゾート)に疑問を呈する動きが活発化し始めた。
同じく誘致に手を上げたものの、コロナによる財政難ですごすごと引き下がらざるを得ない自治体も出た。
IRと新劇場、事業費見直しも 横浜市長、コロナで財政難(YAHOOニュース)
バクチに国の将来を託すという愚かな賭け
私はこれまでに何度も書いてきているが、カジノを誘致してインバウンド需要を当て込むというのはこれ以上無いといって良いくらいの愚策である。
少しその理由について書いてみると、一番に考えられるのが失敗したときのリスクの高さである。そもそもカジノ誘致を含むIR構想が唱えられたのは、2012年くらいのことだ。
2010年に発足した国際観光産業としてのカジノを考える議員連盟が主導となって、実現に向けて議論され続けてきた。
当時のことを考えると、マカオやシンガポールなど確かにカジノ誘致を成功させた国々があったことは事実である。当時、ラスベガスは振興を極めカジノと娯楽だけで成り立つ、砂漠の上の楼閣といえただろう
だが2015年頃になって状況が変わり始めた。娯楽の街ラスベガスにすきま風が吹き始めたのである。これはカジノがもはやマジックでは無く衰退する産業に成り果てたことを意味する。近年になって、マカオも売り上げを落とし始めた。
そういった事態を見ればカジノといった斜陽産業に国の明暗を預けるのが、いかに愚かなことかよく分かるだろう。実現した頃に世界中でカジノが廃れきっているという事態もあり得るのだ。
つまりカジノ誘致は、「失敗する可能性が高い絵に描いた餅のために我々の血税をつぎ込み、一部の人間の利権を守ろうとする茶番劇」に他ならない。
インバウンドの夢も露と消えた
コロナ禍のさなか、インバウンド需要が殆どゼロになった。東京オリンピックの開催までもが、危ぶまれているのである。
そんな中、沈黙を貫く人々がいる。いわずと知れたカジノ誘致推進派の人たちである。確かに今現在、カジノの話を持ち出すのは得策ではないだろう。
だが、ここ数ヶ月、「カジノは諦めましょう」という話も聞かない。どうやら彼らは、まだ諦めていないようである。
コロナウイルスによって、インバウンドの果実は消え失せた。観光立国というおとぎ話も地に落ちた。
そんな中、IRに財源を委ねた大阪都構想の正否が住民投票されようとしている。ところがメディアを見る限り、大阪都構想とIRを結びつけた報道は見られない。
今、我々市民は「この国にカジノはいりません」と声を大きくして叫ぶときである。インバウンドを当て込んだカジノという愚策は、何とか阻止しなければならないのだ。