パチンコ・スロットは 今後どうなるのか?
実は、今後パチンコとスロットが廃れ続けるのかどうかを知るヒントが、喫煙率の低下と麻雀が衰退してきた歴史に存在している。そのヒントとは何か? それは、ここまでで全て書いている。注意深いあなたなら、既にお気づきのことだろう。
答えを先に言ってしまおう。その答えは、それを教える人が減ったという事実である。嗜好品と遊戯という違いこそあるが、タバコにせよ、麻雀にせよ、直接的間接的にその物をやる人が減ったということである。そしてここで大切なことは、やらない人が増えた理由とは「タバコが不味くなったとか、麻雀が面白くなくなった」ということではない。
タバコに関していえば、昔よりも種類が増え美味しくなったと聞く。麻雀はオンラインで遊べるシステムまで登場したが、聞く限りにおいて若者のプレイヤーは少ないという。タバコはTASPOの出現で、自販機という最も強力な教師を失った。麻雀は、学生の生活様式が変わって先輩という教師不足に陥っているのである。
ここでいう「教える」とは、直接的に手取り足取り楽しみ方や遊戯方法などを教えるということだけではない。退社後に麻雀に誘ったり目の前で美味そうに一服吸って見せたり、休憩時間に「昨夜は勝ったよ!」とタバコ片手に談笑したりするのも、教えていることと同等の行為である。
つまりタバコや麻雀のように、今後「教える人」が少なくなれば、おそらくだがパチンコとスロットもますます衰退していくということである。近年の傾向からすると、パチンコ・スロットの攻略誌もかなり部数が減っているようである。
教えないとは やらないこと
最後に少しだけ、今回の記事に関連した項目に触れてみたい。いまだに、「パチンコ無くなれ」とか「この世から消えてくれ!」とかおっしゃる方が居る。
もしもあなたが今、パチンコとスロットに対し恨みや憎しみを持っているのであれば、それはそれでご自分が今後断を続ける為の活力にされれば良いと思う。だが、それだけなら勿体ない。なぜか?
自分が苦しんだ状況を後の世に引き継がないため、あなたはそういったエネルギーを注ぎ込むことができるはずである。「パチンコとスロット、無くなれ!」と涙目で叫ぶ気概があるのなら、できるはずである。
これは以前にも書いたが、もしもあなたが親であるのなら、できる限り早く子供達にはやらないよう言って聞かせるのが良いだろう。依存で困っている仲間達を助けるために活動するのも良いことだ。
しかしながら一番重要なことは、まずあなた自身が「パチ・スロをしている自分の後ろ姿を、誰にも見せないこと」である。詳しく書くならば、依存の対象であるギャンブルと決別し、一生手を出さないことなのである。
実際のところパチンコとスロットがこの世から無くなる可能性は、極めて低いと言える。なぜなら賭け額の上限を決めるという抜本的な制度を作ることに、この国の人々が積極的でないからである。
私は以前から提案しているが、国がギャンブルとして定めた遊戯全てに賭け額の上限を定め、それをマイナンバーと連携させて賭博用のカードを作れば良いのである。そして、そのカードが無ければ公営ギャンブルもカジノもパチンコもスロットも、遊戯できないようにすれば良い。
そしてポイントは、ギャンブルと名が付く遊戯全般で「最大遊戯可能額のグロス」を決めることである。そうすれば、少なくともギャンブルで身を持ち崩す人は激減するだろう。だがそんなシステムを設ければ、ギャンブル業界に流れ込む金が減ることは見えている。
そういった最も効果的な制度ができないのは、賭博業界からの圧力を受けて及び腰になっている政治家と、赤字解消に賭博施設を含めたIRなどによるインバウンドを当て込んだ、国や自治体の存在がある。言い尽くされた言葉だが、IRなどまさに「絵に描いた餅」である。
このように国も政治家もそして世論も、勿論賭博業界も、決してあてになどできない。唯一頼りになるのは我々自身の行動であり意思である。パチンコとスロットが今後どうなっていくのか、その鍵を握っているのは他ならぬ我々市民なのである。
廃れさせたいのなら教えないこと。教えたくないのなら、まずはあなた自身がやらないことである。パチンコ・スロットを批判し憎むことで、それらを無くすことはできない。このことを最後にあなたにお伝えしたい。
(奥井 隆 タカビー)