さてここまでで、生活習慣を改善する前段階としていくつかのことを書かせていただきました。復習もかねて、これまでのポイントを4つに分けてお話ししておきましょう。
1.改善すべき2つの習慣
ギャンブルをするために必要な2大要素とは、「お金と時間」です。余分なお金を持ち歩いたり常にギャンブルすることを前提に予定を組んでいたりといった行動は、依存症ギャンブラーが長年ギャンブルしたせいで身に付けてしまった悪しき習慣です。
こういった理由から、ギャンブル依存症を克服する上で改善すべき問題は「お金に関する問題」と「時間に関する問題」であるといえます。2つのうちで特に重要であり、かつ改善が難しいのは時間に関する問題だと私は思います。
では、なぜ時間に関する問題を解決するのは困難だといえるのでしょうか?
2.時間の問題は習慣の問題
時間を持て余まさないようにするには、殆どの場合生活習慣を改善してライフスタイルを変えるしか方法がありません。しかも時間の使い方に関する生活習慣の改善は、長い期間を要し困難を極めます。この理由についてですが、時間を持て余すことを防ぐのに有効な生活環境の改善がないからです。
「新しい趣味を見つける」といった試みがいかに難しいかは、経験された方ならご理解いただけることでしょう。多くの場合、時間の問題は習慣の問題なのです。
確かに競馬や宝くじといったギャンブルは、多くの時間を必要としません。極端な話、勝ち馬投票券やくじを買う時間さえあれば事足ります。そういった意味でいえばこれらのギャンブルは確かに手軽なものですが、実際には宝くじに依存している人は少ないです。
競馬などの公営ギャンブルに限っていうならば、開催期間が限られていることもあり、依存する確率は低いといえるでしょう。なぜなら公営ギャンブルへの依存は、多くの場合プレイするお金を手持ちしないことや、誘惑を遠ざけるといった「生活環境レベル」のことだけで解決できるからです。
ではここでいう「時間の使い方に関する生活習慣」は、どういったケースで問題になっているのでしょうか? それは、パチ・スロへの依存を見れば理解できます。駆逐しにくい依存には、習慣が大きくかかわっている場合が多いのです。
3.パチ・スロ依存の克服は、時間とお金双方の管理が必須
パチ・スロの場合、金銭対策以外に持て余す時間対策が必要になってきます。その理由としては先の章で書きましたが、パチ・スロがプレイする時間によって投資額が膨らむ仕組みになっているからです。だからこそメーカーもホールも、客を長時間台に座らせて売り上げを増やすために機械を開発したり営業に工夫したりしているのです。
遊戯時間が多くなれば金銭が失われるばかりか仕事や家事などにも支障が出始め、本人とその家族の生活に支障をきたすことになります。簡単にいいますと、パチ・スロというギャンブルが大きな社会問題を引き起こすのは、それらが莫大な時間を費やすように作られているからなのです。
勿論ですが、パチ・スロ依存を克服するためには、お金に関する生活習慣を改善させることも必要です。ですがそのためには、新たな習慣を身に付けるしか方法がありません。このことについては後に詳しくお話しさせていただきます。
4.最も早く効果が上がるのは、依存する前の状態に戻ること
パチ・スロ依存の大きな特徴といえるのが、ギャンブルに時間を支配されているということです。これは、「毎日パチ・スロするために、スケジュールを決めている」とさえいえるもので、そういった性質上、それらをやめると莫大な時間が余ってしまうのです。
ですが、それは錯覚なのです。依存する以前のあなたには、そもそもパチ・スロをしている時間などなかったはずなのです。そういった状態にあなたを復元することは、至って合理的な方法といえましょう。
あなたの生活の中で多くのエリアを占めているパチ・スロを追い出してしまうには、まずあなたがそれらのギャンブルをやらなかった頃に戻ることを考えるべきなのです。(続く)