・これまでに備わってきた「好ましくない環境と習慣」とは
いよいよ第4章として、ギャンブル依存症克服に一番必要であり、かつ最も困難な要素である「生活環境と生活習慣の改善」について書かせていただきます。
我々はこれまでの経験から、ギャンブル依存症を克服するために、生活環境と生活習慣を変えることが必須であることを知っています。例えばギャンブル依存症の自覚が「改善のための動機」であるとするならば、生活環境と生活習慣の改善は「具体的な治療」とさえいえるものなのです。
では、なぜ生活環境と生活習慣を変えることが具体的な治療といえるのでしょうか? それにはいくつかの理由があります。
依存症ギャンブラーは、断を志すまでの間、ずっとギャンブルに適した環境で過ごし、ギャンブルすることが前提の習慣を身につけてきたというケースが多いです。具体的な例を挙げるならば、次のようなものがあるでしょう。
- 大金を持ち歩く
- 無趣味
- PAT会員
- 貯玉の存在
- 友達がいない
- パチ屋のメール会員
- 虚言癖
- 向学心がない
- 育児放棄
- 仕事をサボる
- パチンコサイトのお気に入り
- 秘密の借金
- 人間関係の拒否
- 妻に内緒の使い込み
- パチ友の存在(ギャンブルの交友)
- 攻略本やパチ・スロ雑誌
- 家事を手抜きする
- 行きつけのホール
- オンライン投票口座
好ましくないことなら、まだまだたくさんあると思います。ここで、よく考えてみてください。ギャンブルしない人ならば、当てはまらないことばかりですね。きっとあなたは、「よくもまあ、ここまでしょーもないことばかり・・・」とウンザリされたことと思います。
これらは、「ギャンブルに依存する過程で備わった 好ましくない生活環境と生活習慣」といえるものです。勿論、真っ当な市民なら、これらのこととはあまり縁がないといえます。ですが逆にこれらのことを改善(治療)していけば、問題解決につながるというのも事実です。
・簡単に改善できること 改善が困難なこと
以下、簡単に改善方法が浮かんだ項目だけ書いてみます。
- 最小限のお金しか持たない
- 趣味を持つ
- PATから退会する
- 貯玉を全て交換してカードにハサミを入れる
- 昔の友人にメールしてみる
- パチ屋の会員登録を解除する
- 自己啓発に取り組む
- ちゃんと子育てする
- ちゃんと仕事をする
- 借金をしない
- 人に言えないことはしない
- ギャンブルサイトのブックマークを削除する
- ギャンブルの交友を無くす
- パチ・スロの情報源を断つ・・・
- ちゃんと家事をする
- 公営ギャンブルのオンライン投票から退会する
いかがですか? 書いてみれば、とても簡単です。ですがよく見ると、本当に簡単なことと、極めて難しいことがあるはずです。
例えば、「貯玉を全て交換してカードにハサミを入れる」というのは、すぐにでもできそうですが、「最小限のお金しか持たない」というのは敷居が高そうですね・・・。「ギャンブルサイトのブックマークを削除する」のは簡単そうですが、「ギャンブルの交友を無くす」というのは少しつらそうです。
ましてや、「ちゃんと子育てする」「ちゃんと仕事をする」「ちゃんと家事をする」といった項目になると、気が重くなりそうな気がしますね。さてあなたの場合は、いかがでしょうか?
このように生活環境と生活習慣の改善といっても、簡単に実行できることと困難なことが存在します。ですが、簡単にできることは効果が低いのかといえば、決してそうではありません。それらは、全てギャンブル依存症を克服するために必須の治療でありオペなのです。(続く)