これまで私は、様々な立場・タイプの依存症ギャンブラーとお目にかかる機会があった。いつも感じてきたのは、ストレスがギャンブルへの依存に大きく関係していることだ。
突発的なストレスと慢性的なストレス
ストレスという言葉を調べてみたら、次のような説明があった。
そもそもストレスとは、外部から刺激を受けたときに生じる緊張状態のことです。 外部からの刺激には、天候や騒音などの環境的要因、病気や睡眠不足などの身体的要因、不安や悩みなど心理的な要因、そして人間関係がうまくいかない、仕事が忙しいなどの社会的要因があります。
一般的な分類ではこうなるようだが、私は突発的なストレスと慢性的なストレスが存在すると考えている。突発的なストレスとは、まさに「外部から刺激を受けたときに生じる緊張状態」なのだろう。例えば失恋や肉親の死、ペットの死などが、それに該当するだろう。
慢性的なストレスとは、心理的要因と社会的な要因といえる。家庭内における揉め事や職場での悩みなどがそうだろう。一般的にストレスと言えば、慢性的ストレスを指す場合が多い。
ストレスの原因として特に重大なのが「日常生活における不安」というものである。もう少し詳しく書くならば、その多くは「生活していけるかどうか」という生存の不安ともいえる。
困っている人ほど
結論から書くと、生存の不安に際舐められている人ほどギャンブルに依存しやすい。それは単に「金銭的に困っている人ほど射幸心が強いから」だけでは説明が付かない。なぜなら現在のパチンコとスロットに射幸心を求めても、一向に満たされないからである。
今回は詳しく書かないが、パチンコとスロットというギャンブルは、生活が安定していない人ほど依存しやすくまた抜け出しにくい。
そもそもギャンブルは余剰資金の中で行うべきレジャーなのだが、金銭的な余裕が無い人は、すぐに「余剰資金の枠」を超えて生活費にまで手を付けることになる。その結果、生活不安に陥り、アツくなったり負けを取り戻そうと考えたりするのはよくあることだ。
簡単な話、月額のお小遣いが1万円の人と10万円の人とがパチンコをして、同じように8千円擦ったとしても、懐が受けるダメージに大きな隔たりがある。
当然ながら小遣い1万円の人はたちまち金欠になって、「今月、どうやって過ごそうか?」となるわけだ。人によっては負けが確定したその時点で、「どこから借りようか」と、金策のことまで考え始めてしまう。
そういったいわゆる「金銭的価値感と金銭の重み」の違いが生み出す金への恨みや執着が原因となって、「生活に不安を抱える人ほどやめられない」というパラドックスが生じるのは皮肉な現象である。
お金に困っている人ほど、なかなかやめられない。そしてギャンブルへの依存が原因で、それまで以上の生活不安を生み出していく。これこそが、ギャンブルが生み出す金銭感覚のスパイラルなのだ。(続く)