普通の関係への道のり

2劣等感がある故

ここで少し、あなたのパートナーについて考えていただきたい。あなたのパートナーは普段、実際よりも自分のことを強く見せようとしないだろうか? 一言でいえば、背伸びである。

問題のある家族は、何かしら自分が優位なことを話したがるという傾向がある。そしてそういった人ほど、立場的に自分が上に立ちたいと願っているようにも感じられる。

では、なぜそういった願望に基づく行動心理が形成されているのか? それは、そういった人が心の奥に大きな劣等感を持っているからだ。

つまり劣等感を見せないため、自分より劣っている人物を探すのである。だからこそ自分が優位に立てて、かつ自分を頼ってくれる人物に興味を示すのだ。

それは裏返せば、誰かに偉そうに言われて傷つくのが怖いという心境に似ている。劣等感が有る故に劣等感を感じさせない人物とくっつく。そういった人が家族側に存在するのである。

あなたのパートナーが、あなた以上にメンタル的な問題を抱えている可能性も有るのだ。

家族側に存在するパラドックス

これまでに書いてきたように、家族側に強力な否認が存在する場合が多い。そしてそういった行為が災いして、パートナーがいつまでたっても問題を解決できないケースも存在する。

そういった問題行動をする家族は心の奥底で、パートナーがギャンブル依存症から抜けだすことを願っていないのではないかと、私は正直なところ疑ってしまったことがある。

だが現実は違った。その後、私は気付いたのだが、自分が依存者の自立を妨げているにもかかわらず、そういった家族はパートナーの自立を願い続けているのである。それはパラドックスといえる。

そして意外なことに、その願望が叶ったと同時に依存者だった人物に魅力を感じなくなるケースが多い。問題が解決した後にお目にかかると、寂しそうにうつむいている方も居られた。

これは小さい子がオタマジャクシを育て、オタマジャクシがちゃんと育ってカエルになった途端、育てる気が失せてしまう現象と似ている。具体的に言えば、そういった人の願望は、どうにもならない男(女の場合も)の面倒を見ることに身を捧げ続け、自分が育ての親になりたいというものだったわけだ。

だが目的が達成されてしまうと、急に生きる目標を失ってしまい落ち込んでしまうのだ。ここで私があなたに対し何を申し上げたいかというと、あなたの行動でパートナーをガッカリさせなさい、ということである。

ここでいう「行動」とは、あなたが自立に向け努力するということである。勿論、ギャンブルなどしている場合ではないだろう。

そしてその結果、初めてあなたはパートナーと「普通の関係」を結ぶことができるのである。

奥井 隆(タカビー)

奥井 隆
奥井 隆
2 市民団体 ギャンブル依存症克服支援サイトSAGS 代表
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