我々市民にしか できないこと

2・あなたが依存を克服すれば パチンコ業界は衰退する

では我々市民は、今後も黙って今の現状を受け入れ続けねばならないのか? 我々にできることは、何もないのだろうか? 私は決してそうでないと思うのである。我々市民にできることはたくさんある。いや! それどころか、我々市民でしか、こういった問題を解決に導くことはできないとさえいえるのである。

政治家を頼ったり、「まあ、そのうちに」などと世論の高まりを期待したりしているうちは、いつまでたっても問題を解決できない。やってみればわかるが、反対運動をするのというのは大変だ。よしんばできたとしても、どこからともなく圧力がかかる可能性が高い。ここで肝心なのは、「我々自身の行動」なのである。これは「我々の行動」ではない。「我々自身の行動」なのである。

そもそも対決というか、そういった問題に真っ正面から対峙するというのは、リスクが大きいし効果的な方法といえない。何ごとにも、「根」というものがある。少し時間はかかるが、その「根」を取り除いてしまえばいいのである。

真っ先に我々が考えるべきことは、「まず、自分自身が絶対にパチンコとスロットをしない」ということである。いくらパチンコ業界を恨み「パチンコなくなれ!」と叫んでみても、あなたがスリップしてホールに入れば、業界は存続していくための資金を得るのである。逆にいえば、「あなた一人が依存を克服するだけで、業界は大きなダメージを被り続ける」ということである。

例えばあなたが、これまでに年間50万円パチンコかスロットに費やしていたとするならば、あなたがホールに行かないというだけで、パチンコ店は50万円の粗利を失うことになる。そればかりではない。あなたが行かない間に費やした人件費、マシン代、光熱費、メンテ費用、地代なども、全て無駄になるということだ。

そしてそういった効果は、あなたがやめている限り続くのである・・・。「あなた自身がホールに行かないということが、パチンコをなくすために一番大切な活動・運動になっている」ということをよく知っていただきたい。

ちなみに10月20日時点でSAGSへの参加者は、ちょうど600人となった。全ての参加者がギャンブルに行かなかった日数は、累計で98,350日近くに達している。次のページから、確認していただきたい。

SAGS

例えば1人のメンバーがパチンコやスロットなどに行って1日に平均5,000円使うとするならば、これまでに4億9千万円もの金を業界に流さずに済んだことになる。そしてこういった活動は今後もどんどんと続き、毎日断パチ・スロ達成者の数×5,000円の金を業界から守り続けることができるということだ。

・子供たちに パチ・スロ依存の芽を残さない

つまりこういった考え方は、「活動する、運動する」というよりは、「パチンコ・スロットを我々の手で廃れさせる」というものである。当たり前の話だが、遊戯人口がどんどんと減れば、パチンコ業界は規模が縮小し凋落することになる。それが続いていけば、ひょっとしたら本当に日本の国からパチンコとスロットを無くせるかもしれないのである。

そしてそのために最も大切なことは、我々自身がギャンブルしないことと同時に、子供たちや子孫にギャンブル依存症の根を残さないことだ。では、「依存の根を残さない」とは、具体的にどのようなことだろうか?

簡単に言えば、それは「あなたの周囲にいる人たちや子供たちに、ギャンブル、特にパチンコとスロットの害と危険性について、ちゃんと教えてあげる」ということである。とりわけ、子供たちへの「禁ギャンブル教育」というものは大切だ。だがこれは、あなた自身が行うしかない。今の日本で、学校教育にそういったことを期待しても無駄だからである。

少なくともあなた自身の手で、子供たちに次のことぐらいは教えてあげた方が良いだろう。印刷して子供たちに手渡し、ちゃんと読んで説明してあげればいい。

  • ギャンブルで失うものは多い(信用 お金 時間 友達 家族 優しい心 正直な心 )
  • ギャンブルは決して儲かるものではない
  • できればギャンブルは 一生しない方が良い
  • 大切なお金をギャンブルに使ってはならない
  • ギャンブルは 人が堕落する大きな原因である
  • パチンコとスロットは とても高額な賭けである
  • ギャンブルで失ったお金は 絶対に戻ってこない
  • パチンコ店は身近にあるが 安易に入ってはならない
  • 社会人として自立するまで ギャンブルをしてはならない
  • 親がギャンブルに依存し 犠牲になる子供たちが数多くいる
  • 世の中には ギャンブルへの依存が原因で不幸になる人たちが数多くいる
  • ギャンブルによって起こした問題は あなた自身が全て責任を持って解決しなければならない
  • 今の世の中はギャンブル産業とつながっている人が多いので 世間に出てもそういったことを教えてくれる人は少ない

愛する家族を依存の脅威から遠ざけることができるのだから、少なくともこれぐらいのことは面倒がらずに実行していただきたい。それも、できれば子供たちが小さい頃に教えてあげることが望ましい。

これからの日本でパチンコやスロットが廃れるのか、それともこのまま蔓延し続けるのか? その鍵を握っているのは、他ならぬ我々市民なのである。

奥井 隆(タカビー)

 

奥井 隆
奥井 隆
2 市民団体 ギャンブル依存症克服支援サイトSAGS 代表
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