パチ・スロは 種類が違うギャンブル

2・パチ・スロと他のギャンブルとの違い

さてこのように、我々にとって最強最大の敵といえるパチンコ依存とスロット依存ですが、他のギャンブルへの依存とはかなり異なった特徴を持っています。といいましょうか、先にも少し触れましたが、パチンコとスロットというのは他のギャンブルと仕組みが大きく違っているのです。我々は克服に着手する前に、そのことを知っておく必要があるといえます。簡単にいえば、「パチンコとスロットで金を失う仕組み」が分かっていないと対策の取りようがないのです。

「ギャンブル」とひとことで言いますが、金銭の損失として問題となるのは主に「勝負の回数」と「賭ける額」です。なぜならギャンブルは「勝負の回数」×「賭け額」という、至って簡単な数式で投資額が決定する世界だからです。

例えば競馬なら1日に15回程度レースが行われます。15回のレースのうち、参加するレースへの投資額の合計で1日の投資が決まります。もしも第5レースと第8レース・最終レースに投資するならば、賭け自体は3回です。総投資額は、第5レースの投資額+第8レースの投資額+最終レースへの投資額の合計となります。

もしも宝くじなら、買った枚数×300円が投資額であり、勝負は抽選されるときの1回だけということになります。ですがパチンコとスロットは、こういった計算が成り立たないのです。なぜならパチンコとスロットは、常に連続して勝負(大当たりの抽選)が行われているギャンブルだからです。

通常の場合パチンコとスロットは、連続でプレイするギャンブルです。誰でもパチンコ台の前に座れば電動ハンドルを握ります。そうすれば、玉は自動的に発射されていきます。しかも連続でチャッカーに入賞すると、保留玉が貯まります。保留玉というものは、「次の勝負の結果」なのですが、保留玉があるからといって誰も打つのをやめてそれが消化されるのを待つことはありません。保留ランプが点灯したままで、連続して打ち続けます。

スロットの場合は、コインを入れて遊戯し始めると前兆やボーナスのチャンス目などが出現するので、誰でもチャンス目やボーナスが来るまで連続して遊戯してしまいます。つまりパチンコ店に居る客の殆どは、「大当たりが来るまでが、1回の勝負だ!」と錯覚しているといえます。

しかもパチンコとスロットはプレイヤー側で賭ける額や投資額を決めることができず、選択できるのはプレイする機械とやる時間だけです。そういった性格上パチ・スロは、他のギャンブルと違い「投資額(ヤラれる額)は、プレイする時間によって決定する」ともいえます。

  • プレイする時間で投資額が決まる
  • プレイヤーが選択できるのは、座る台と遊戯する時間だけ

では、パチンコとスロットにおける「勝負」は、いつどのように行われているのでしょうか?

・抽選は毎回だが

デジパチ機ならチャッカーに玉が入賞することで、1回の勝負(抽選)が行われます。パチスロの場合は、コインを3枚投入してレバーを叩くことで、1回の抽選となります。

パチンコの場合、1分間の発射回数は法令で100発以下となっていますので、賞球がなく連続で打ち続けていたと仮定するならば、理論上は6000個の玉を1時間に消費することになります。貸し玉は1個4円ですから、単純に計算すると1時間に24,000円の投資です。ですが少ないながらも賞球がありますし、リーチがかかったときなどは打つのを停止しますので、おおむね20,000円から15,000円くらいが、1時間で使うお金とみてよいでしょう。

パチスロの場合も、法令で4.1秒間に1回しか回すことができない構造になっています。ですから1時間あたり最高に回すとしても、878回転 ということになります。子役などがなく、かつ連続で遊戯し続けた場合は、理論上52,680円使う計算になりますが、実際は子役が揃うのでパチンコ同様時間あたり20,000円前後と考えればよいと思います。

パチンコとスロットの還元率は、だいたい70パーセントから75パーセントといわれていますから、1時間あたりに失うお金はだいたい6,000円から4,000円の間くらいと予想できるでしょう。(4パチ20スロの通常営業として)

さて… 私は今簡単に、「1時間あたりの負け額が、理論上6,000円から4,000円の間くらい」と書きましたが、実際に考えて見るととんでもなく大きな投資だといえます。還元率を考慮した結果ですから、勝った負けたを真っ平らにしてこれだけのお金を失うということです。3時間ホールに居座れば、理論上は18,000円~12,000円負けて帰ることになります。

しかも1時間大当たりが来なければ、問答無用で15,000円から20,000円くらいのお金がなくなります。最近の機種は大当たり確率が300分の1を下回っている場合が多く、1時間プレイして大当たりを引けるかどうか怪しいものです。勿論、お金が尽きればその時点でゲームセットです。

パチンコとスロットは、大当たりが来るまで我慢してプレイしがちなので、損失が膨れあがりやすいです。しかも身近なところに存在しているにもかかわらず、異常なほどレートが高いギャンブルなのです。(続く)

奥井 隆
奥井 隆
2 市民団体 ギャンブル依存症克服支援サイトSAGS 代表
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