偽りのデータ
厚生労働省の勤労統計データ不正に端を発した、一連の省庁データの隠蔽・改ざん問題が世間を揺るがしている。
最近明らかになってきているのは、統計データの不正や改ざんが単なるミスや手抜きでは無く、意図的に景気回復をアピールするために使われていたという事実である。
簡単にいえば、「賃金も雇用環境も景気も改善していないのに、あたかも緩やかに回復しているように見せかけるために行われていた」ということである。
なんとかミクスという造語が蔓延して久しいが、全く生活が向上しないのに「ね! あなたたちの生活は、ずっと改善したでしょ? あの人達に任せていたら、今頃、もっともっと大変だったんだよ」と耳元で囁かれても、何だかピンとこない。
なぜなら消費税アップを見越して、一昨年頃から生活物資がジワリジワリと値上がり続けているからである。今まさに、実質賃金が生活物資の値上がりに付いていけない状態になっている。
小麦粉
調味料
乳製品
冷凍食品
送料
ビールやワイン…
2018年に値上がりした物だけを例にとっても、これだけある。今年はまだまだ多くの食品が値上がりするとみられている。
住宅事情についても、補助金はどんどんと減り建築費や解体費用は値上がりし続けている。こんなにあちこちで災害が生じているのに、東京でオリンピックの施設を建造するために、職人が地方から駆り集められているという。
だが私が今回言いたいのは、値上がりに対する愚痴では無く実質賃金が上がらないことに対する批判でもない。
円安の影響で値上がりする物が出るのは、ある程度仕方が無いことだ。ただし、問題はその「方法」である。近年、値上がりはステルスで行われていることが常である。(続く)