返済という口実

2・返済は 新たな口実となる

ではなぜ、「借金がギャンブルから抜け出せない原因になる」といえるのでしょうか? 通常の人が考えるならば、ギャンブルをすればするほど借金が増えて当たり前です。「借金したくなければ、あんたギャンブルしなさんな!」と言いたいところかもしれません。事実、借金を無くすための第一歩は、ギャンブルをやめることです。しかしながら依存脳とは、常にギャンブルするための口実を探し続けているものです。

健常者の人たちが聞けば笑うかもしれませんが、依存症ギャンブラーは「ギャンブルすることが借金を減らすことにつながり、ギャンブルをやめれば自力で返済するチャンスを逸する」と盲信している場合が多いのです。そういった義務感や使命感というものは、自分がギャンブルし続けるための虫のよい言い訳であり、格好の口実だといえましょう。

・口実になるプロセス

ではそういった思考のプロセスは、どうなっているのでしょうか? 借入額が少ない時、依存症ギャンブラーは「次に勝てば、借りた分くらいは返せるさ!」と思い続けているものです。しかしながら洒落になる程度の借金というのは、せいぜい知れています。せいぜい、10万円から20万円くらいでしょう。

私はこれまでに何名かの多重債務者さんから、お話を聞く機会がありました。そういった方々のお話から察すると、多くの方が借入額50万円を超えるくらいになると、そういった気力を失うようです。そして借入額が更に多くなると、別の考えが頭の中を支配し始めます。「何とか、今月の返済分くらい勝たないと…」となっていくのです。

気付かれた方も多いと思いますが、ギャンブルすることの目的が「一括返済」から、「月々の返済」に変化しましたね。以後そういった考え方は、借金の返済期日が近くなると毎月のように頭をもたげるようになります。そしていつしか返済という義務は、依存症ギャンブラーの頭の中でギャンブルすることの口実となってしまうのです。

・自力返済できなくなって

なぜそうなってしまうのかについてですが、直接的には月々の返済額が膨らみ、小遣いなど自分が自由になるお金の範囲で返済できなくなることが大きな原因でしょう。勿論、そうなる頃には、本人の貯金や金目のものは底を尽き、友人や知り合いからも借金できない状況になっているはずです。

そういった状況になると、彼らは「オレの小遣いじゃ、これだけの借金、絶対に返せないよな…。やっぱ、パチンコ頑張って返済できるようにならないと…」などと考えてしまうのです。ズバリ言うならば、「返済がギャンブルする口実に化ける瞬間とは、依存症ギャンブラーが自力返済できなくなったとき」なのです。

しかも借入額が150万円くらいになると、殆どの人が元金を減らせなくなり、毎月利子だけの振り込みになってしまうとも聞いています。しかしながら依存症ギャンブラーは、このような事実上の返済不能になってもギャンブルをやめることがありません。そうなってしまう原因は、直接的に見るならば体の良い口実と金銭による心の「疼き(うずき)」ですが、間接的に見るならばギャンブル依存症によって形成された「誤った価値観」です。(続く)