身ぐるみ剥がれたプロ

2パチ屋は社会の醜い縮図

今日もたわ言モードで、徒然に書いてみたい。最初にお断りしておくが、「パチ・スロの実機名やパチ屋内の様子などは、どうも苦手」という方は、お読みにならないことをお勧めしておく。

前回は、自分自身がパチ屋内で知り合った男に騙された話をした。これまでボクは、騙されたり痛い目に遭ったりという経験を何度もしてきている。また同時に、ギャンブルのせいで人生を棒に振ってしまった人を何人も見てきた。会社の金を使い込んだり店の金を持ち出したりしてパチ屋に通っていた人など、両手を合わせても足りないくらい居たのである。

長年パチ屋に通っていると、いろいろなことを経験する。獣王でサバが潜伏中なのに金が無くなったと、隣のオネエサンが泣きついてきたり、出した球やコインを置き引きされたり、しょーもない事件がしょっちゅうあった。

軍資金が尽きたオバサンから色目を使われたり、突然横に座った女がいきなり自分の値段の交渉を始めたり、つかみ合いの喧嘩、脅し、縄張り争い、男女間のもつれ、ノミ屋の取り立てなど、数え上げればきりが無い。パチ屋とはさしずめ、社会の一番汚い部分を観賞できる特殊な場所なのである。

そう! 時には、身ぐるみ剥がれてハダカになることだってある。今からの話はボクの経験ではない。ボクの知り合いだったパチプロのハナシだ。彼は人が良いので、ボクよりももっと酷い目に何度か遭っている。

金を貸してドロンされたなんて、彼にとっては日常茶飯事だった。彼は「パチ屋で知り合った女の家に付いていったら、怖いオッサンが待っていた」という美人局の経験までしている。

仕組まれた罠

或る日彼はパチ屋で知り合った男と意気投合し、一緒に呑みに行く約束をした。そもそもその男と知り合ったきっかけは、次のようなことだったらしい。

彼がフィーバー機で遊戯していたとき、隣に座ったのがその男だった。台の上皿に玉が無くなりそうなとき、彼の台にたまたま大当たりがきたそうだ。上皿の球が少なかったので、彼は新しいカードを差し込もうとした。

するとその時に横の男性が、すかさず掌に1杯の玉を彼の台の上皿に入れてくれたのだという。こういったことは、パチ屋に行ったことのある人ならよく聞く話である。まあ助け合いの精神というか、ボーナスの目押しとか、大当たり時の玉の貸し借りとか、そのあたりはパチ屋で唯一人情味の感じられるシーンだろう。

彼はその男に丁重に礼をいい、缶コーヒーを手渡したらしい。そしてそれがきっかけで会話が弾み、その夜一緒に呑みに行くことになったという。

このあたりボクの場合と殆ど同じだが、彼の場合少し違っていた。「呑みに行く前に、一緒に銭湯に行きませんか?」とその男に誘われたのである

ハダカの盲点

さて…

ここまでの話だけで結末がどうかわかった方は、きっと同様の経験をしたか、それともそういった経験をした人のことを知っている人だろう。

結論から言うと、彼は自分の所持金やカードなど貴重品全てをその男に騙し取られた。その手口を今からお話しよう。

銭湯に行くと気になるのは、自分の持つ財布の保管である。その頃銭湯に貴重品のロッカーはなく、番台で貴重品を預けて札を受け取る仕組みになっていた。ここまでの話で、「ははーん! なるほど!」と思った方は鋭い! この仕組みを利用した窃盗事件が多かったのである。

2人連れ3人連れくらいの人数で銭湯に行くと、貴重品をまとめて預けることが多かった。つまり人数分の貴重品を一つの袋に入れて預け、預かり札を一人の人間が保管するわけだ。

ここで問題なのは、貴重品を返してもらう時である。番台の人は預かり札と貴重品を交換するわけである。番台の人はその男がどんな人間であるかなど、気にしようが無い。預かり札と預かり品を交換することは、当たり前のことである。勿論、何かあった場合その責任は、預かり札をその男に持たせた人の責任である。

古典的な窃盗の手口

つまりこういうことだ。私の知るプロは意気投合した男と一緒に銭湯に行き、その男と一緒に貴重品を番台(フロント)に預けた。その男の財布は、自分の財布よりも数段高級なヴィトンの財布だったらしい。

そしてその時の預かり札は、相手の男に持たせたという。その男の財布が高そうなものだったので、疑いもしなかったらしい。最初に「貴重品を預けませんか? 何かあったら物騒ですし…」とたたみかけ、番台から貴重品札を受け取ったのはその男であった。

そしてその男と浴室に入り、世間話をしながら一緒にサウナを浴びた。彼はそれからしばらく男と一緒に湯船につかり、湯船から出て髪の毛を洗い終わった後に男を見失ったということだ。

それでも彼は、その男に一片の疑いを抱くこともなく体を洗い終え、更衣室に向かった。ところがそこでも男の姿が無かったので、もう一度浴室に戻ったがやはり居ない…。そして着替え終えて、広間を見回しても彼が居ないことに気付いてハッとなったそうだ。

もうここまで話せば、あなたもお気付きだろう。私の知り合いのプロが髪の毛を洗い始めるや否や、その男は一目散に脱衣場で着替えた。そして何食わぬ顔で番台で貴重品の入った袋を受け取り、そのままドロンした。

こうして男は、まんまと貴重品一式をせしめたのである。私の友人のプロは全ての所持品を奪われた。

財布にカード、免許証、現金15万円、貯玉がゴッソリ貯まっているパチ屋の会員カード3枚、そしてロレックスの腕時計。タチの悪いことに、愛車のBMWのキーまでもヤラれた。被害総額は全部で確か、80万円とか言っていたと思う。最近の銭湯やスパでは考えられないが、当時はこういった古典的な手口の窃盗が存在したのである。

このようにパチ屋の中は、誘惑と堕落と犯罪とあなたを陥れる為のワナの宝庫である。言うまでも無いが、そんな目に遭わないための方法はただ一つ。そういった場所に行かないことだけなのだ。

奥井 隆(タカビー)