誤魔化しの時代

2ステルス値上げは一種の詐欺

「定価を変えず分量を減らす」という手法をとるメーカーが多くなった。これは、ここ数年来のことである。きっとあなたも、ぼんち揚げや柿の種などの袋を見て、「あれ? 小さくなったんじゃ??」と感じられたことがお有りだろう。

こういった方法で値上げすることを、世間一般にステルス値上げというらしいが、もっともなネーミングだと感心させられた。尚、正式には「内容量が収縮していく」という意味で、「シュリンクフレーション(shrinkflation)」と呼ばれる現象である。

私が初めてこのステルス値上げに気付いたのは、5年くらい前に大阪のとある酒造メーカーで酒粕を購入したときである。それまで一袋で500グラムだったのが、一気に400グラムに減っていた。私は家に帰って調理を始めるまで、そのことに気付かなかったのである。

わが家では、ちょくちょく粕汁を炊くのだが、400グラムの酒粕では鍋一杯作れない。400グラムで調理すると、何だか物足りない味になってしまうのである。

そのことを酒造会社の社員に話すと、「ちゃんとパッケージに表示しているじゃないですか。表示している限り問題はありませんよ」と言われた。まさに、けんもほろろである。

料理を作る立場にしてみれば、こういったやり方は困る。そんな詐欺のような手法で無く、堂々と値段を上げれば良いじゃないかと思うのだが、そう感じるのは私だけではないようである。

実際にステルス値上げを不満に思う消費者は多いようだ。値上げは痛いが、それが堂々とではなく誤魔化しのような手法でなされたとき、物価が一層上がったという「体感物価」になるのは無理もないことだ。

余談だが、この酒造メーカーは、その後酒粕の売り上げがかなり落ちたようである。以前は並ばねば手に入らなかったが、今では容易く手に入る。

こういった例は、まさに消費者の体感物価がなしえた業であろう。(続く)