第7章 パチ・スロ依存を対象とした生活習慣の改善

2・パチンコ依存とスロット依存との戦いは 習慣との戦い

さてこれからパチンコとスロット依存対策として、生活習慣を改善する方法について書かせていただこうと思います。まず最初にお話ししておかねばならないのは、生活習慣というものは改善できるものとできないものがあるということです。

よく、「悪い習慣だね… 改善しないとダメだよ」などとおっしゃる方がいらっしゃいます。ですが私がこれまで見てきた限り、ギャンブル依存症の原因になっている悪習慣は改善できない場合が多いです。改善でなく、「駆逐(追い出す)」しなければならないものが殆どだともいえます。それは「夜更かしを無くす」といったような、生やさしい類のものではありません。

依存しているならば、誰もが「パチンコとスロットをするために、どうやって時間を割きお金を融通するか」そして「いかにしてウソがばれないように気をつけるか」そういったことばかりに気を取られているはずです。人として本来ならばしなければならないことを犠牲にし、パチンコとスロットへの依存は成り立っているのです。

依存すれば家族のことや友人のことは忘却の彼方となり、仕事や勉学なども上の空になります。煩わしい人間関係やつきあいなどを極力避け、そういったことに使うお金や時間は全てパチ・スロに使おうとするのが依存症ギャンブラーなのです。そういった悪しき生活習慣は、朝から時系列的に辿っていけば比較的簡単に把握できるでしょう。

例えばあなたが会社員とします。日曜日の朝のことを思い浮かべてみてください。パチ・スロに依存している人ならば、朝寝坊することもなくホールの開店時刻を意識して目を覚ますはずです。そして適当に口実を設け家族に言い訳して、家を抜け出すことでしょう。朝目を覚ました時点で、一日の行動がほぼ決まっているといえます。

ある人は日曜出勤だとウソをつき、ある人は友人と約束があるからといって、一目散にホールへ向かいます。そしてお金が底を突いて早く帰ってきたときは、「仕事が早く済んだ」と言い、勝負が長引いた場合は「忙しかった」と言い訳するわけです。そういった行動はパターン化している場合が多いです。

お金に関しても、時間に関しても、交友関係にしても、情報にしても、全てもしくはいくつかの項目で、既に行動がパターン化しているはずです。それぞれの項目ごとに悪い習慣が存在し、殆どの習慣はウソと言い訳で固められているのです。

しかも悪習慣というものは数が多いので、全てに通じる方法というものがありません。それぞれの項目ごとになくしていくしかないのです。そういった人は、行動パターンを改善することができません。なぜなら行動その物が、パチ・スロすることを前提としているからです。パチ・スロすることが前提の習慣は、駆逐するしか方法がないのです。

お金にしても時間にしても、「そもそもパチ・スロをするための習慣」といえるものは、根こそぎ取り除く覚悟が必要です。そしてその為に必要なことは、改善などという甘い言葉で語れるものではありません。

・悪習慣を書き出してみて 気付くこと

では、パチンコとスロットへの依存者が持つ悪い習慣とは、どのようなものでしょうか? ここでいくつか、パチ・スロ依存にまつわる生活習慣を書き出してみましょう。

1.金銭に関する悪い習慣

  • 大金を持ち歩く
  • どんぶり勘定
  • 借金を繰り返す
  • 借金を返済しない
  • 金策ばかり考えている
  • ウソをついて金策する
  • キャッシュカードを持ち歩く

2.時間に関する悪い習慣

  • ウソの残業
  • ニセの休日出勤
  • パチ・スロ中心のスケジュール

3.人間関係に関する悪い習慣

  • 虚言癖
  • パチ友との交友
  • 家族・友達と交流しない
  • できるだけ一人で行動しようと心がける

4.誘惑・情報などに関する悪い習慣

  • 喫煙
  • ゲーセン
  • パチ・スロのアプリ
  • パチ屋からのメールチェック
  • 部屋に積まれた攻略本を読みふける
  • コンビニでパチ・スロ誌を立ち読みする
  • 新聞のチラシやCMをついつい見てしまう

今書き出したことはほんの一部なのですが、無くすべき習慣ばかりです。ですがよく見れば、簡単に解決できることばかりでもあります。しかもそればかりではありません。逆に「こういった習慣が身に付いていないから、ダメなんじゃないか?」と思えることがいくつか存在します。(続く)

奥井 隆
奥井 隆
2 市民団体 ギャンブル依存症克服支援サイトSAGS 代表
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