克服とは 悪しき生活習慣との決別

2・依存の温床は 悪しき生活環境と生活習慣

なぜならギャンブル依存症そのものが、悪い生活環境によって備わってしまった悪い習慣によって形作られているといえるからです。例えばあなたは、少し時間を持て余すとなんだかソワソワしませんか? ポツンと一人きりになると、無性にパチンコに行きたくならないでしょうか?

私はそういった欲求を「渇き」と呼んでいますが、何かがきっかけで、まるで喉が渇くようにギャンブルしたくなってしまうのです。それは衝動ともいえますが、多くの場合、長い年月ギャンブルしたことが原因で身についてしまった習慣のなせる業です。

例えば、私がパチンコとスロットをしていた頃は、毎日、朝の10時という時間を意識して生活していました。10時といえば、パチンコ店が開店する時間です。あの頃の私は、生活の出発点がパチ屋の開店時刻だったのです。

狙いの機械があれば、どのように都合を付けてでも開店時刻までにホールに着いて並びました。仕事よりも家庭よりも、まずパチンコとスロットを優先しました。生活全てがギャンブルを中心にして回っていたといっても、決して言い過ぎではないと思います。

もしもあなたが私のような生活を何年も送っていたら、どうなるでしょうか? おそらくですが、ギャンブルすることが習慣化し、ライフワーク(生涯をかけて すべき仕事)になってしまうのではないでしょうか?

ギャンブルはお金を吸い尽くし、何も良い結果を残しません。私はこれまでの経験で、どんな遊びでも何がしか得られる物があると思っていますが、ことギャンブルとゲーム(ビデオゲームやRPG・ゲームアプリなど)に関しては、そういった理屈が通用しないと感じます。

ギャンブルすることがライフワークになると、どういった事態が起きるのか? 既にあなたは、ご存じでしょう。ギャンブルへの依存とは、悪しき生活環境と生活習慣によってもたらされる「人生の破滅パターン」なのです。

・時間を持て余すのは 一時的なもの

一度身についてしまった悪い習慣を取り除くのは、極めて困難です。なぜなら通常の場合、かなり精神的苦痛が大きいからです。我々の元へ来られる方々は、殆どがパチンコとスロットへの依存者ですが、特にパチンコとスロットへの依存者については、時間に関する悩みが尽きないと言わざるを得ません。なぜならパチンコとスロットへの依存者が、本来自分がすべきことを犠牲にしてギャンブルする時間を作り出しているからです。

少し話がそれますが、その理由は、「パチンコとスロットが、遊戯する時間に比例してお金を失う仕組みになっている」からです。そういったシステムの中でギャンブルしているわけですから、依存するとお金だけで無く時間を作ろうとして歪んだ生活を送ってしまうのです。

そういった人たちにとって、ギャンブルをしないということは、「それまで自分が犠牲にしてきた時間の全てが戻ってくる」ということです。仕事をサボり、家族を裏切り、友達付き合いを切り捨て、そして自分自身の将来さえ顧みずにギャンブルし続けてきたわけですから、それはそれは莫大な時間が帰ってくることでしょう。

だから断を重ねる過程で、殆どの依存者は時間を持て余しがちです。巨大な時間を急に突きつけられても、すぐに対処できるわけなどないからです。当然ながら「暇なときは、どうすれば良いのですか?」と聞かれる方が多いのですが、そういった「見せかけの暇」は、克服していく過程で無くなっていきます。私は、「時間を持て余すのは、一時的なものですよ」とお話しすることが多いです。

ではなぜ「克服していく過程で、持て余す時間は無くなっていく」といえるのでしょうか? ギャンブルをやめていると、徐々に金銭感覚が戻ってきます。同時に、時間に対する考え方も変わっていくのです。それは、ちゃんと仕事をすることがいかに大切か、家族と過ごすひとときが、いかにかけがえのないものか、気付いていく過程ともいえます。自分が大切にすべき時間が、見えてくるようになるともいえましょう。

このように、依存症ギャンブラーが持て余した時間は、本来ならその人が真っ当な社会人として生活するために必要な時間だったのです。だからこそ、「ギャンブル依存症を克服していく過程で、持て余す時間は消え失せていく」といえるのです。

克服した方の話を聞けば分かりますが、時間を持て余している人など居ません。殆どの方が、「忙しい!」と悲鳴を上げて毎日を過ごしておられます。大切な時間を切り捨ててきた代償がいかに大きいか、多くを語る必要は無いでしょう。(続く)