ボクがパチプロになれなかった理由 その2

2不思議の国の日本

日本という国は不思議な国です。真っ赤なウソが、世間で堂々とまかり通っていることがよくあります。

その原因はいろいろとあるのですが、まずマスコミがウソをウソだと言わないことが大きいです。たとえそれがウソであっても、我々市民は何度何度も繰り返し聞かされると最後は縦に首を振ってしまいがちです。

同じように世の中には不合理というものがあります。一つの宗教であっても、信者数が増えれば国を動かす勢力になります。絶対に実現などしない夢物語でも、口の旨い人物が叫びマスコミがそればかり取り上げていると、何だか実現しそうな気がしてきます。

駅前に有ったちっぽけなパチ屋でも、巨大化して何兆円もの売り上げがあがれば、おこぼれ頂戴に与ろうと蛆虫のような連中がウヨウヨと寄ってきます。

そうなると、完璧なバクチであるにもかかわらず、国は知らないふりを決め込みます。これはもう、日本に蔓延る慢性の国民病だといってよいでしょう。もはや国際的にも、大きな恥です。

今現在、カジノ開催に向けていろいろな話が進められています。じゃカジノ作って、一体何をどうしたいのか? 簡単にいえば、得体のしれない儲け話に我々国民の血税をつぎ込み、パチンコ関連業界を潤わせようと…。まあ、その程度の話です。

カジノ業界は競争が激しく、勝ち残れるという保証などどこにもありません。それどころか、今現在カジノは全世界的に斜陽産業です。あのベガスでさえ、構造不況の真っただ中です。カジノ合法化などと叫んでいる人たちは、暗黙のうちに関係者だけで甘い汁を吸いつくし、あとはドッカリと我々国民に尻拭いさせようと考えているんでしょう。

大阪でも同じです。維新の会が掲げる大阪都構想…。この都構想だって、主要財源をIRと呼ばれるカジノをメインとするリゾート計画にドップリと委ねているのです。つまりこれだって、バクチで儲けようというお粗末な話なんですね。ゼロサムなものに未来を託すという過ちを犯してはなりません。

今夜は少し前置きが長かったですね。それでは前回の続きです

最速のバクチ

304850760_7f82945e68_tそんなある日のこと、友人から言われたことがある。それは「どうせアルバイトをやるならば 将来役に立つことをやったらどうだ?」という辛口のひとことだったと記憶している。

今から考えると、その友人はたいした人物だったと思うが、当時のボクはそんな言葉に貸す耳などなく、パチンコで稼ぐことがどんなに楽しくて楽で効率的か自慢するばかりだった。

有頂天になっていた。おそらくだがその友人には、相当軽蔑されていたんだろう…。その後も、かなりこっ酷くディスられた。「お前は後々 エラい目に遭うだろう」と。そして彼の予言は的中した。

自堕落な生活も卒業と共に終わり、そんなボクでも東京の自動車会社へ就職することになった。
そして出向先の茨城でボクはテーブルポーカーに手を染め、バクチは負けるものだということを思い知らされることになったのだ。今考えれば、あの時点で既にボクはプロになれない人間だったといえる。

間違いないことだが、あの時のボクは「稼ぐ」ためではなく「楽しむ」ためにバクチに手を出し、ハマったのだ。そういった人間がプロになれないことは、後々気づいたことである。

テーブルポーカーは今考えてみれば、当時最速のバクチだった。一晩で70万円溶かした人までいた。

プロ失格

だが幸いなことに、テーブルポーカー、テーブル麻雀・競馬といった機械物は、すぐに摘発されて無くなってしまった。違法賭博なんだから、当然といえるだろう。そしてそのおかげで、ボクはそれ以上の損失を出すこともなかったのである。通常なら、そこでバクチと縁を切るのが当たり前だ。

だが、ボクは一つ重大な間違いを犯した。それは「バクチに手を出してはならないが パチンコならいい」と勝手に決め込んでしまったことである。つまり、かつて稼いだ経験から、パチンコはバクチじゃないと勝手に解釈していたのである。

バクチが好きな奴は、いつか必ずバクチに溺れてしまう。あの頃のボクは、こんな単純なことさえ分からなかったのだ。(続く)

※一連の記事は、「ギャンブル依存症克服への道」から転載しています。

奥井 隆
奥井 隆
2 市民団体 ギャンブル依存症克服支援サイトSAGS 代表
詳しい情報は、次のリンクをご参照ください。
AMAZON著者ページ