錯覚の時代

2錯覚は繰り返しとともに

よく考えれば分かるが、ステルス値上げという手法はいずれバレる。しかもバレたとき、そこそこ反発を買うことを覚悟しなければならない。

なぜなら、そこで欺かれるのが消費者であり、内容量の減少などといった卑怯なやり方で誤魔化しが露見するからである。

ところがそういった手法ではなく、多くの政治家達は偽りを口にするとき錯覚を利用しているのが現実である。

史上空前の好景気である
実質賃金は上昇している
IRはインバウンドを呼び込む
雇用は改善している
大阪は黒字になった
カジノは景気回復の起爆剤になる

私はこれらの言葉を全く信用してはいないが、メディアが繰り返し放映し、著名な政治家が何度も口にすると、「本当にそうなのかな?」という思いがムクムクと心に湧いてくる。

「ひょっとしたら?」という思いは、繰り返される言葉による錯覚から呼び込まれることが多いのである。

錯覚は既成事実化から

政治家達は繰り返しの魔術と同じく、一連のウソを既成事実化して話すことで、市民に錯覚を植え付けることが多い。

例えば、「ここまで成長できたんですから」とか「空前の好景気を維持するために」とか「カジノを催す準備も整ったわけですから」などと言われると、情報に疎い市民はその言葉を信じるより仕方が無くなってしまう。

成長できたのか?
空前の好景気なのか?
カジノの準備は整っているのか?

たとえその言葉が誇張されていたり偽りで糊塗されていたりしても、信じざるを得ないのである。というか、真実を知ることから目を背ける人も多い。

怖い物は見たくない
知ってはならないことがある
見て見ぬふりをしていれば
何とかなるだろうから
面倒だから

理由は様々だが、あえて現実を知りたくない人々である。私は少年の頃、よく父からこう言われた。

「人前で政治の話をするな。政治と宗教の話は、誰がどこで聞いているか知れない」

私が特別だったかどうかは知らないが、近い感覚で生きてこられた方は多いように思う。そんな警告を受けてきた私が、ブログでこんな記事を書いていると知ったら、父は仰天することだろう。

そういった生い立ちだったが、不思議なことに私は情報というものを鵜呑みにしなくなった。大切なことや疑問が生じたことなどは、必ずその場で調べる癖が付いた。

今は時間を惜しむことから、テレビも見ないしSNSに時間を費やすことも無くなった。皮肉な物だが、このことで逆に自分の情報量を増やせたと感じている。

偽りの情報を摂取すると錯覚という病に罹患しやすく、それを避けるためには自分で調べるという予防が欠かせない。私は最近、このことをつくづく感じるのである。

(奥井 隆 タカビー)