批判し罵るのは スカッとするだけ
大阪府の吉村知事が営業自粛に応じないパチンコ店名を公表した。ネット上でも私の周りでも、「よくやった!」という賛辞の言葉と、勧告を無視して営業を続けるパチンコ店への不平不満が渦巻いている。
確かに、このようなコロナ禍の中での営業継続は感染拡大につながりかねない。どう考えても、好ましいことではない。そういったことから考えると、批判が集まるのは当然のことである。
だが、いかように批判しようが罵ろうが法的な拘束力は無い。つまり単なるブーイングに過ぎない。批判する人たちの自己満足に過ぎない。近頃はとかく誰かを悪者に仕立て上げて叩く風潮が強いが、これは市民自体に力が無くなってきている証拠である。
単なるマスターベーションならあまり意味が無い。ここは逆に今回の事態と状況を利用して、日本という国を高めるために頭を使うべきだろう。批判してスッキリするのは自由だが、どうも今回の店名公表は胡散臭く感じるのである。
公表はトカゲのしっぽ切り
まず私が一番に考えたのが、「店名公表で一番笑うのは誰か?」ということだ。一連の自粛要請で休店した大手以外のパチンコ店は、全て壊滅的な打撃を受けることだろう。騒ぎが収まったら、かなりの数のパチンコ店が廃業に追い込まれると私はみている。
もしもそうなるだけならば、今、市中に存在する「公然のバクチ場」が減るわけだから、歓迎すべきことかもしれない。だが、そうはならないだろう。
なぜなら、超巨大化した大手パチンコチェーン店が存在するからである。そういった大手は、おそらく少々の休業などではびくともしないのである。
むしろ休業したり倒産してしまったパチンコ店の客を吸収し、場合によっては買取や統合がこれまで以上に進むこととなる。なんのことはない、今回の休業要請と店名公表は、大手パチンコ店にとって強い追い風になった可能性が高いのである。
つまり今回パチンコ店に出された休業要請と勧告無視の店の公表とは、トカゲのしっぽ切りに他ならない。それでも今回のコロナ禍で、オリンピック共々パチンコ業界が大きく男前を下げたことは間違いないだろう。
今 我々にできること
さてパチンコに依存しているあなた 頭さえ使えば、今回の事態を利用して遊戯人口を激減させることは可能である。同時に、あなたにとってパチンコをやめる千載一遇のチャンスが訪れているのだ。
まず、自粛期間が過ぎても絶対にパチ屋に行かないことだ。
断ギャンブルをする上で、最もクリアーしにくいのが断開始から3ヶ月くらいまでである。この期間を頑張ることができれば、一生やめるための道筋が出来るのである。
特に厳しいのが断ギャンブル開始から1ヶ月までだが、今回の休業要請は延長される可能性が出てきた。そうなれば自分で対策を練らないでも、問答無用でパチンコ店に行けなくなるのである。これを利用しない手はない。
もしもそうなれば、あなたはコロナウイルスのおかげで一生を棒に振らないで済むかも知れないのである。
それと、もしもあなたにお子さんが居るならば、「感染場所」というだけでなく、パチンコ依存の恐ろしさについて教えてあげる絶好のチャンスともいえる。
「パチンコ店の中は感染しやすいし、パチンコ依存は怖いから行っちゃダメだよ」と教え込めば良いだろう。
特殊景品を無くすチャンス
ハッキリと言っておくが、パチンコ・スロットはギャンブルである。法律的に賭博と定義されていなかったとしても、特殊景品が存在し客がそれを現金に換えることができるシステムが存在する限り歴としたギャンブルなのである。
今、パチンコ店の休業に伴って、特殊景品を扱う業者も殆どが休業に追い込まれていると聞いた。そういった人たちに今後、パチンコの景品交換業務以外の職を斡旋していけば良いのではないか? 本気になれる自治体などが先頭を切って手厚い支援を施し、転業させるわけである。
そうすれば、あの業界から「事実上の換金システム」が無くなる可能性だって出てくるわけである。業界の人たちは「パチンコはギャンブルではありません」とシラを着る必要も無くなるだろうし、堂々と「ギャンブルではありません」と胸を張れるのである。
よく考えてみれば、パチンコ依存の諸悪の根源はパチンコやスロットでは無く、あの特殊景品の換金システムである。
それを一掃するチャンスが、今訪れているのかも知れないのだ。(奥井 隆)