自覚を研ぎ澄ます 仲間の力

2・一人で頑張るのが難しい理由

さてこのように「強固な自覚」というものは、ギャンブル依存症を克服していく過程で不可欠なものです。しかしながら、そこまでちゃんと自覚できている人は少なく、殆どの方は手探り状態で何らかの行動を起こさざるを得ません。ひょっとしたら、ここにいらっしゃるあなたも、そうではないでしょうか?

ところが強固な自覚を備えていなくても、順調に断日数を伸ばして克服していく方はたくさんいらっしゃいます。そういった方は、克服していく過程で強固な自覚と正しい知識が備わっていった方たちです。それでは、どうすれば中途半端な決意と自覚がより強固なものへと変化するのでしょうか?

その答えは、その人を取り巻く人間関係にあるといえます。既に私も経験済みなのですが、一人でギャンブル依存症を克服するのは極めて困難なのです。なぜなら一人では次のようなことに悩まされ、挫折してしまう可能性が高いからです。

  • 絆が無い
  • 励みが無い
  • 情報が少ない
  • ツールが無い
  • 不安でしょうがない
  • 教えてくれる人がいない
  • モチベーションが保てない
  • 効果的な方法に巡り会えない

人間関係に恵まれないということ自体、ギャンブル依存症克服にとって大きな問題なのですが、それ以上に致命的なのは「情報が少ない」ことと「効果的な方法に巡り会えない」ことなのです。例えばSAGSの場合は、常に掲示 板で仲間たちがスリップした人に対し励ますとともにアドバイスしてくれます。セミナーや懇親会の席で、仲間たちとともに学ぶこともできます。

ところが一人で頑張っていても、なかなかそういった機会がなく知識を得るのは難しいものです。日数を伸ばしていても再発して元通りになってしまうといったパターンは、一人で頑張っている方に多いです。これこそが「無知のリスク」の恐ろしさといえるでしょう。

・仲間たちから得られること

仲間たちがいると、いろいろな情報に巡り会うことができます。特に克服して悩みを解決できた方の意見というのは貴重です。なにしろ上手くいった生きたサンプルなのですから、そういった方の教えや体験談というのは、克服を目指す人にとってこれ以上無い強い味方になるのです。

そういった情報をリアルタイムで得られるというのは、克服していく上で覚悟と決意と自覚、そして正しい知識を備えるために不可欠なことです。

SAGSでは定期的に、順調に断日数を積み重ねている方の体験談を掲載しています。そういったメンバーたちと日常的につながってアドバイスをもらえるというのは、極めて大切なことです。よろしければ、次のリンク先もご覧になってみてください。

喜びと励ましのメッセージ

それと、成功談と同じくらいに大切なことは、仲間の失敗談も聞けるということです。例えばあなたがスリップしてしまったとします。ひょっとしたら、そのスリップが原因であなたは再発生活に逆戻りするかもしれません。長い長い年月、堕落した生活を送り、這い上がることもできない状況まで落ちてしまうことだってあり得ますよね・・・。

ですが、もしも先に仲間たちの失敗を目にしていたとしたらどうでしょうか? あなたはそういった例を見て、スリップを予防することができたかもしれないのです。自分が失敗して学ぶのと、誰かの失敗を見て学習するのとでは雲泥の差があります。

危険を避けることができれば、それは経済的にも時間的にも、そして周囲の方々への影響面から考えても、多大な損失を未然に防いだということになるのです。

自覚し知識を会得し、仲間たちの成功や失敗から学ぶということは、底上げにとって必須の作業なのです。「人間は自らの失敗から、なかなか学ぶことができない」というのは、私が今まで生きて得た苦い経験でもあります。

このように、もしもあなたがギャンブル依存症を克服したいと願うのであれば、生活環境と生活習慣を変える一方で、同じことで悩んでいる仲間たちとつながる必要があるといえるでしょう。(第3章終わり)

奥井 隆
奥井 隆
2 市民団体 ギャンブル依存症克服支援サイトSAGS 代表
詳しい情報は、次のリンクをご参照ください。
AMAZON著者ページ