あなたを復元することで

2・スリップのトリガーは 持て余す時間

とはいえ暇な時間とのつきあい方で悩み、パチ・スロ以外に時間をつぶす方法がないとお嘆きの方も多いことでしょう。なぜなら依存症ギャンブラーは、いわば「ギャンブルすることが、義務になっている人たち」だからです。だからこそ我々は毎日頭をひねり、ギャンブルするためにスケジュールを組み立ててきたのです。少なくとも、私の場合はそうでした。

ですから誰かに、「ねえキミ… 今までバクチしていた時間を、本来の目的に使えば良いじゃないか」と言われたとしても、理解できる筈などないのです。しかしながら、ギャンブル依存症を克服する上で常に対峙しなければならない問題の一つに、スリップというものがあります。持て余す時間に追い詰められて土俵を割らないようにするのは、スリップを防止するために最も大切な作業の一つです。

スリップにはいろいろなパターンがありますが、「たまたま手にしたお金がピストルで、持て余す時間がトリガーになり、結果として弾倉に残った玉(お金)を一発残らず打ち尽くす」というのは、よく聞く話です。なぜなら気分的にも精神的にも肉体的にも、時間を持て余しているときがワーストの状態だからです。「小人閑居にして不善を為す」とは、本当によく出来た言葉だと思います。

「暇だ… やることがない! 退屈だ!」といった時に、余分なお金を手にしたり強引に誘惑されたり強いストレスを感じたりしたらどうなるか? おそらくですが、よほどの覚悟と意志を備えていなければ、誰だってスベってしまうことになります。実際この種の悩みは多く、セミナーのアンケートや相談者さんからの質問の中で一番多いのが、時間に関するものです。

だからこそ持て余している時間を何としなければならないのですが、ドカンと戻ってきた時間というものは、そう易々と使いこなせるものではありません。ここで大切なのは、そういった時間を「本来、その人が使うべき箇所に戻してやる」という作業なのです。

ですが依存症ギャンブラーは、「時間とは、元々ギャンブル以外のために使うべきものである」ということを忘れ去っている人たちだといえます。それまで生きる価値観がギャンブルのみに振り分けられていたわけですから、それも無理からぬことでしょう。

・あなたを復元するために すべきこと

これは以前にも書きましたが、ここで大きなヒントになるのが「あなたは依存する前に、どのような生活をし、どのように時間を使っていたか?」ということです。思い出してみてください。依存症ギャンブラーとは、金銭的にも時間的にも精神的にもギャンブルに束縛されている状態なのです。束縛される前の状態がどうだったのか振り返ってみるのは、良い方法です。「パチ・スロする時間など、全くなかった!」という方も、きっと多いことでしょう。

勿論ですが、暇だからパチンコに通った、その結果依存したという方もいらっしゃるかもしれません。ですがそういったパターンで依存した方のお話を聞いてみると、依存後、暇だった時間だけの遊戯で済んでいるというケースなど全くないといってもよいほどです。

金銭的にも時間的にも頻度的にも、依存すればそれまで以上に酷い状態になってしまうというのがパチ・スロ依存の特徴です。その理由についてですが、パチンコもスロットもやり始めるとなかなか終わることができないギャンブルだからです。

では、やめにくい原因とは何でしょう? それは思わせぶりな演出であったり継続していく遊戯性であったり手軽に入れる営業形態だったりするわけですが、ようはパチンコとスロットが時間単位でお金を失う仕組みになっているというのがその原因です。お店は客を長時間座らせておかないと売り上げが上がらないので、営業上そういったシステムにせざるを得ないのです。

これらのことを考えていくと、依存する前の状態に戻ればある程度問題を解決できるということに気付きます。私はこれまでに、依存する前の方が酷い状況だったというお話を聞いたことがありません。いろいろと新しいことを試すのも方法の一つではありますが、まずはあなた自身を復元することから着手するというのが良いと私は考えます。(続く)

奥井 隆
奥井 隆
2 市民団体 ギャンブル依存症克服支援サイトSAGS 代表
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