稼いだ時間と 稼げていない時間

2・そもそも時間を稼ぐとは

さて私はあなたに「時間を稼いでください」と申し上げました。きっとあなたは、こう考えられたに違いありません。

「時間を稼げって…、結局、やめる時間を伸ばせということだろ!? それができないからこそ、こうやって困っているんだ! これじゃ本末転倒じゃないか!!」

確かに、あなたがそうおっしゃりたい気持ちはよく分かります。しかしながら世に存在するギャンブル以外の依存について、よく考えてみてください。薬物依存にせよアルコール依存にせよ、依存を治療する第一歩は依存の対象(依存している物 酒や麻薬など)と切れるということなのです。このあたり勘違いしている方が多いですが、「やめ続けるのと依存を克服するのとは、また違ったこと」なのです。やめ続けることができていれば、依存を克服できたとはいえないのです。

つまり、「我々は依存を克服するために、正しい方法でちゃんとした目的意思を持って、一定期間、依存の対象と切れる必要がある」ということです。例えば、10年という長い期間パチンコしなかった人なら、絶対に克服できているのか?といえば、それは100%そうだとは断言できません。なぜそう言えるのか? それは、10年間断パチしている人が、どのような状況で、またどういった理由で依存の対象と切れているかが重要だからです。

もしもその人が、ちゃんとした方法で自らの依存と向き合い、その結果としてパチンコをしていないというのであれば、克服といえるでしょう。ですが、そうでない場合が多いことも事実です。

・目的のない時間は 稼いだ時間とならない

例えば、住んでいる地域がパチンコできない場所であれば、物理的に依存の対象と切れていることになります。仕事や職場の関係で、パチンコする時間がない場合だってあるでしょう。私がここで言いたいのは、そういった環境に居る人たちは、たまたま行けないだけであって克服したわけではないということなのです。

もうひとこと言えば、「環境が変われば、安易に手を出し、あっという間に元通りになる可能性が大きい」ということです。いわば、崖っぷちを歩き続けている人たちです。私がこれまでに相談をお受けした人たちの中には、「出産と育児で、3年間やらなかったのですが…」とか、「職場の関係で海外に滞在していて、2年間スロットと離れていたのですが…」とか、「父が急に亡くなって仕事を引き継がねばならなくなり、3年間はやりませんでしたが…」といった方が多いです。

これらの方々の話の続きは、すでにあなたも想像できていることでしょう。これまでの3つの例は、実際に寄せられた相談の記録から抜粋したものです。続きを読めば、きっとあなたは、やらなかった期間が依存を克服するためには何の役にも立たなかったことを知るでしょう。

  • 「育児が一段落して、また通い始めた結果、止められなくなり…」
  • 「帰国して落ち着いてから、また通い始めました。それから貯金を全て使い果たし…」
  • 「仕事が落ち着くと、余裕が出てまたパチンコに行くようになりました。それからは店の金を持ち出したり…」

我々は依存を克服するために、断する期間を延ばす必要があるのです。ところが、それだけでは足りないのです。「ちゃんとした方法に沿って目的意識を持ちながら、一定の時間を稼ぐ必要がある」のです。目的無しに流れていく時間は、稼いだ時間といえません。これは、とても重要なことです。あなたは、漠然とではなく目的意識を持って、断に励まねばならないのです…。

それと、医学的にも依存は完治しないといわれています。ギャンブル依存症問題に立ち向かうならば、「一生やらない覚悟は必須で、依存の対象と生涯切れ続けることが問題解決の前提である」ということをここで申し上げておきましょう。(続く)